発達障害に向いている仕事は?障害者雇用で探す条件と進め方

発達障害に向いている仕事は?障害者雇用で探す条件と進め方 障害者雇用

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結論:向いている仕事は「職種名」より「働く条件」で決める

発達障害のある人の特性や困りごとは一人ひとり違い、「この診断ならこの職種」とは言い切れません。職種名で探すより、指示の出し方や業務の見通し、職場環境、相談体制といった「働く条件」を言葉にして求人を比べるほうが、応募先選びも面接での配慮の相談も進めやすくなります。
手帳がなくても相談できる窓口はありますが、求人によっては手帳の所持が条件です。最初の相談先は、主治医、市町村の障害福祉窓口、ハローワークの障害者向け専門窓口のいずれかです。

この記事は次の順で進めます。

  1. 働き方の選択肢(一般雇用・障害者雇用・A型・B型)
  2. 自分に合う「働く条件」の整理
  3. 障害者雇用の前提と手帳の扱い
  4. 就労移行支援の仕組み
  5. 就職後の定着支援
  6. 最初の一歩の進め方

特定の職種を「向いている」と断定することはしません。特性の見立ては主治医や支援機関に相談し、求人票の業務内容は職場見学や実習で確かめる姿勢が大切です。

発達障害の人が働き方を選ぶときの全体像(障害者雇用・A型・B型)

働き方は大きく、一般雇用、障害者雇用、福祉的就労(就労継続支援A型・B型)に分けて考えられます。

働き方 雇用契約 対象者 賃金の目安
一般雇用 あり 限定なし 最低賃金が原則すべての労働者に適用される
障害者雇用 あり 求人ごとに条件が異なる(手帳を条件とするものがある) 【要確認: 求人票の賃金・勤務時間の条件】
就労継続支援A型 あり 一般企業に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が可能な人 事業所に最低賃金の支払い義務がある。令和6年度の平均賃金月額は91,451円
就労継続支援B型 なし 一般企業に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が困難な人 令和6年度の平均工賃月額は24,141円

A型の平均賃金は前年度(令和5年度)の86,752円を上回っています(厚生労働省 令和6年度工賃(賃金)実績)。ただし、A型とB型の金額を並べて優劣をつけるのは適切ではありません。働く時間、仕事内容、支援の厚みがそれぞれ異なるためです。

最低賃金は、雇用形態や呼称を問わず原則すべての労働者に適用されます。精神または身体の障害により著しく労働能力の低い人などには減額特例がありますが、使用者が都道府県労働局長の許可を受けた場合に限られます。

どの働き方が合うかは、本人の状況や希望、体調で変わります。判断に迷うときは、市町村の障害福祉窓口や相談支援事業所で相談できます。

職種ではなく「働く条件」を言葉にする

「事務が向いている」「軽作業が向いている」といった職種名だけでは、同じ職種でも職場によって仕事の進め方がまったく違うため、ミスマッチが起こりえます。そこで、次のような条件に分けて整理します。

条件の軸 整理する内容の例 求人・面接で確認する例
指示の出し方 口頭か文書か、まとめて伝えるか、その都度か 指示は誰がどの方法で出すか
業務の見通し 手順が決まっているか、突発対応が多いか 1日の流れ、繁忙期の有無
同時に進める作業量 一度に複数の作業を並行するか 担当業務の数、優先順位は誰が決めるか
職場環境 音、人の出入り、席の配置、照明など 座席や休憩場所の配慮は可能か
相談体制 困ったとき誰に聞けるか 担当者や定期面談の有無
勤務条件 勤務時間、通勤、在宅勤務の可否 時間や日数の調整は可能か

進め方は次のとおりです。

  1. これまでの仕事や学校、日常で「やりやすかった場面」と「負担が大きかった場面」を、事実ベースで書き出す。
  2. それを上の軸に当てはめ、「必須」「できれば」「問わない」に分ける。
  3. 書き出した内容を、主治医や支援機関(相談支援事業所など)に見てもらう。

特性の見立てや「何が向いているか」という判断は、本人や記事だけで決めず、主治医や支援機関と一緒に確認してください。このメモは、面接で配慮を相談する際の土台にもなります。

障害者雇用の前提と、手帳がない場合

制度の基本

民間企業の障害者の法定雇用率は、令和8年7月1日に2.5%から2.7%へ引き上げられ、現在は2.7%です(施行済み)。障害者雇用義務の対象は、令和8年7月から常用雇用労働者数37.5人以上の事業主で、この規模の事業主は障害者を1人以上雇用しなければなりません(施行済み)。

雇用率の対象になる人

障害者雇用率制度で雇用率の対象になるのは、次の人です。

  • 身体障害者: 身体障害者手帳1〜6級の人
  • 知的障害者: 児童相談所などで知的障害と判定された人
  • 精神障害者: 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人

発達障害のある人が精神障害者保健福祉手帳の交付対象になるかどうかや、等級の考え方は【要確認: 発達障害での手帳交付の条件。お住まいの市町村窓口と主治医に確認】としてください。

手帳がない場合

  • 障害者雇用の求人は手帳を持つ人の雇用を目指して出されていることが多いものの、手帳が必須条件とは限りません。
  • ハローワークの障害のある方向けの専門的な支援は、手帳がない人も、申請中の人も利用できます。
  • ただし、障害者専用求人には手帳の所持を条件とするものがあります。

そのため、手帳の有無で最初から諦めず、まずハローワークの専門窓口に相談し、気になる求人ごとに条件を確認するのが確実です。

就労移行支援の仕組み

就労移行支援は、一般企業への就職を目指して訓練や支援を受ける障害福祉サービスです。

対象と期間

  • 対象は、就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる人です(厚生労働省 事務処理要領による記載)。
  • 利用期間は、利用者ごとに標準期間(24か月)内で設定されます。市町村審査会の個別審査で必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新ができます。
  • 65歳に達する前5年間障害福祉サービスの支給決定を受けていて、65歳に達する前日に就労移行支援の支給決定を受けていた人は、65歳以降も引き続き利用できます(施行済み)。

利用までの流れ

  1. 利用を希望する人は、市町村に、利用したいサービスの種類ごとに支給申請をします。
  2. 申請では、支給申請書(様式第1号)に、負担上限月額の算定に必要な書類と、すでに支給決定を受けている場合は受給者証などを添付します。
  3. 市町村から求められた場合、サービス等利用計画案を提出します。原則は指定特定相談支援事業者(相談支援事業所)に依頼しますが、身近に事業者がない場合や本人が希望する場合は、セルフプランも提出できます。
  4. 支給決定は市町村が行います。心身の状況、サービス等利用計画案、利用意向、訓練・就労に関する評価などを勘案して決定されます。

手帳がなくても、障害年金の受給を証明する書類や医師の診断書などで障害があると判断されれば、障害福祉サービスを受けられる取り扱いがあります。具体的な必要書類は、市町村の窓口で確認してください。

費用

自己負担は世帯の収入状況に応じて月額の上限が決まっています。サービスの利用量が増えても、上限を超える負担は生じません。

区分 月額上限
生活保護世帯・市町村民税非課税世帯 0円
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)の一般1 9,300円
それ以外の一般2 37,200円

18歳以上の障害者の場合、所得を判断する世帯の範囲は、障害のある本人とその配偶者です。

交通費、昼食、教材、在宅用の通信環境などの実費が別に必要かどうかは、事業所ごとの運営規程や契約内容で決まります。見学時に必ず確認してください。

在宅での利用

在宅での利用は、希望する人のうち、在宅での支援効果が認められると市町村があらかじめ判断した人が対象です。事業所が在宅で提供する訓練内容は運営規程に明記することとされているため、在宅コースの範囲はその事業所の運営規程と公式サイトで確認します。

事業所を比べる観点

事業所は公式サイトや見学で、次の項目を確認して比べます。順位づけや評判ではなく、自分の条件に合うかどうかが基準です。

  • 対象者と利用条件
  • 料金(実費の範囲を含む)
  • 対応地域、通所か在宅か
  • 訓練内容、就職先の職種の傾向
  • 就職後のフォロー体制

就職後の「定着支援」まで見ておく

就職がゴールではなく、働き続けられる環境づくりも選択の基準になります。就労定着支援は、その仕組みの一つです。

  • 対象: 就労移行支援・就労継続支援・生活介護・自立訓練の利用を経て一般就労へ移行した障害者のうち、就労に伴う環境変化で日常生活や社会生活上の課題が生じていて、一般就労後6か月を経過した人
  • 期間: 最大3年間。期間経過後は必要に応じて障害者就業・生活支援センター等に引き継ぐ
  • 内容: 相談を通じて生活面・社会生活面の課題を把握し、企業や関係機関との連絡調整や課題解決の支援を行う。自宅や企業への訪問などにより月1回以上の対面相当の支援を行い、月1回以上の企業訪問に努める

就労移行支援の事業所を選ぶ際は、就職後の支援がどうなるかも質問しておくと安心です。

最初の一歩の進め方

  1. 条件メモを作る: 前述の6つの軸で、やりやすい条件と負担の大きい条件を書き出す。
  2. 主治医に相談する: 診断書や意見書が必要かどうか、手帳の申請が可能かどうかを確認する。
  3. 窓口に相談する: 次のいずれかから始める。
  4. 市町村の障害福祉窓口: 就労移行支援などの障害福祉サービスの申請、相談支援事業所の案内
  5. ハローワークの障害者向け専門窓口: 手帳がなくても相談でき、求人紹介や応募の相談ができる
  6. 見学・実習で確かめる: 事業所や職場の見学・実習で、求人票の業務内容と実際の環境を照らし合わせる。
  7. 配慮を言葉にして伝える: 面接では、書き出した条件を「こうすると力を発揮しやすい」という形で伝える。

人材サービスを利用する場合は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で、そのサービスが有料職業紹介・無料職業紹介・労働者派遣のどれに当たるか、取扱職種は何かを確認できます。

家族や支援者の方は、本人の希望を最優先にしつつ、窓口への同行や情報整理を手伝う形が現実的です。

よくある質問

Q. 発達障害に向いている職種は決まっていますか?

決まっていません。特性や困りごとは人によって大きく異なるため、職種名ではなく「働く条件」で整理するのが有効です。見立てが必要な場合は、主治医や相談窓口に確認してください。

Q. 手帳がなくても障害者雇用で働けますか?

求人によります。手帳が必須とは限らない一方、手帳の所持を条件とする障害者専用求人もあります。ハローワークの専門窓口は手帳がない人や申請中の人も利用できるので、まず相談してください。

Q. 手帳がなくても就労移行支援は使えますか?

医師の診断書や障害年金の受給を証明する書類などで障害があると判断されれば、手帳がなくても障害福祉サービスを受けられる取り扱いがあります。必要書類は市町村の窓口で確認してください。

Q. A型とB型の違いは何ですか?

A型は雇用契約を結び、事業所に最低賃金の支払い義務があります。B型は雇用契約を結ばない働き方です。令和6年度の平均賃金(工賃)は、A型が月額91,451円、B型が24,141円ですが、働く時間や支援内容が異なるため単純比較はできません。

Q. 就労移行支援はどのくらいの期間、いくらで使えますか?

標準期間は24か月で、必要性が認められれば最大1年間の更新があります。自己負担は世帯の収入状況に応じて月額0円、9,300円、37,200円のいずれかが上限です。交通費や食費などの実費は事業所ごとに異なります。

Q. 最初に誰に相談すればよいですか?

通院している場合は主治医、サービス利用なら市町村の障害福祉窓口、求人探しならハローワークの障害者向け専門窓口が入口になります。どれから始めても、ほかの窓口を案内してもらえます。

参考にした公的情報(確認日 2026-10-10〜11)

  • 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」「サービスの利用手続き」「障害者の利用者負担」
  • 厚生労働省 令和6年度工賃(賃金)実績
  • JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)障害者雇用関連ページ
  • ハローワークインターネットサービス 障害のある方向けのご案内
  • WAM NET 障害福祉サービス関連ページ

制度や金額は改定されることがあります。申請や応募の前に、各公式サイトと窓口で最新の内容を確認してください。

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