就労移行支援でプログラミング・ITスキルを学ぶ事業所の比較ポイント

就労移行支援でプログラミング・ITスキルを学ぶ事業所の比較ポイント 就労移行支援

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

障害福祉サービスの就労移行支援でITスキルを学ぶ事業所は、「IT特化」という呼び名では比べられません。①学べる内容と学習環境、②利用条件・費用・期間・通所か在宅か、③就職先の探し方と就職後の支援、の3軸で、各公式サイトの記載を確認して選びます。
利用できるかどうかは市町村の支給決定で決まります。この記事は順位付けや口コミ紹介をせず、自分用のチェックリストを作るための記事です。

結論:ITスキル重視の就労移行支援は「カリキュラム・支援体制・就職の出口」の3軸で比べる

IT系をうたう事業所は多く、名前だけでは違いが分かりません。次の3軸に分けて、公式サイトで確認できる項目を並べると比べやすくなります。

  1. 学べる内容と学習環境:何をどの水準まで学ぶのか、通所か在宅か
  2. 利用条件・費用・期間:自分が対象か、自己負担はいくらか、いつまで使えるか
  3. 就職先の探し方と就職後の支援:訓練がどう就職につながり、就職後はどう支えられるか

この記事では事業所名の列挙、ランキング、点数付け、口コミ紹介はしません。事業所の選定や自分に合う働き方の判断は、事業所だけで決めずに、市区町村の障害福祉窓口、相談支援事業所、ハローワーク、主治医にも相談して補ってください。

就労移行支援でプログラミング・ITスキルを学ぶ前に知っておきたい制度の基本

対象者

就労移行支援の対象は、就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者です(厚生労働省の事務処理要領の記載)。

利用できるかどうかは、事業所が決めるのではなく、市町村が支給決定で判断します。診断や医療的な判断はこの記事では扱いません。

利用期間

利用期間は、利用者ごとに標準期間(24ヶ月)内で設定されます。市町村審査会の個別審査で必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新ができます。更新は誰にでも認められるものではありません。

ITスキルの訓練を考えるときは、24ヶ月を前提に逆算します。

  • 基礎学習にかける期間
  • 資格取得や制作物づくりにかける期間
  • 応募書類の準備や企業実習、就職活動にかける期間

事業所のカリキュラムがこの期間内に収まる設計かどうかも、比較の材料になります。

65歳到達時の例外

65歳に達する前5年間、障害福祉サービスの支給決定を受けていた人は例外の対象になりえます。この人が65歳に達する前日に就労移行支援の支給決定を受けていた場合は、65歳以降も引き続き利用できます。

手帳の有無

障害者総合支援法の対象となる難病の方(令和7年4月1日から376疾病に見直し済み)は、手帳がなくても、必要と認められた支援を受けられます。診断書など疾病がわかる証明書を持って、お住まいの市町村の担当窓口に申請し、支給決定などの手続きを経て利用します。

手帳がない精神疾患・発達障害などの場合の取り扱いは、精神障害を理由とする障害年金の受給を証明する書類や医師の診断書などによって障害があると判断されれば、手帳がなくても障害福祉サービスを受けられる、というものです(出典: 独立行政法人福祉医療機構(WAM NET)「よくあるご質問 障害者福祉」)。「手帳がないから無理」と自己判断せず、まず窓口で聞いてください。

就労継続支援A型・B型との違い

区分 対象の考え方 雇用契約
就労移行支援 通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる人。一般就労に向けた訓練の位置づけ ―
就労継続支援A型 一般企業に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が可能な人 結ぶ(最低賃金の支払い義務あり)
就労継続支援B型 一般企業に雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が困難な人 結ばない

厚生労働省の令和6年度実績では、平均工賃(賃金)の月額はB型が24,141円、A型が91,451円です。働きながら収入を得る場か、一般就労に向けた訓練の場かで目的が違うため、IT系の事業所を比べる前に、自分の目的がどちらに近いかを整理しておくと迷いにくくなります。

費用と在宅利用のルール

自己負担の上限

障害福祉サービスの自己負担は世帯の収入状況に応じて月額上限があり、利用量にかかわらずそれ以上の負担は生じません(厚生労働省)。

区分 月額上限
生活保護世帯・市町村民税非課税世帯 0円
市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)の「一般1」 9,300円
上記以外の「一般2」 37,200円

所得を判断する世帯の範囲は、18歳以上の障害者(施設に入所する18・19歳を除く)の場合、障害のある方とその配偶者です。

この上限は利用者負担の話です。交通費、昼食、教材、在宅用の通信環境などが別に必要になるかは事業所ごとに異なる可能性があるため、就労移行支援では食費などの実費負担があり、在宅で訓練を受ける場合は利用者側でも機器や回線の用意が必要となることがあり、事業所が利用者から受け取る費用の種類と額は事業所ごとの運営規程で定められるので、別に必要な費用は運営規程や契約内容で確認してください(出典: WAM NET「就労移行支援」/厚生労働省「就労系障害福祉サービスにおける在宅でのサービス利用にかかるガイドライン」/厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」)。

在宅で学べるか

在宅利用は、在宅でのサービス利用を希望する人のうち、在宅での支援効果が認められると市町村があらかじめ判断した利用者が対象です。事業所が「在宅OK」と書いていても、本人の利用可否は市町村の判断になります。

通所との併用は必須ではなく、在宅と通所を組み合わせることもできます。ただし事業所が報酬を算定するには、国の留意事項通知の要件をすべて満たす必要があります。例は次のとおりです。

  • 職員の訪問または利用者の通所による評価等を週1回行う
  • 原則として月の利用日数のうち1日は、訪問または通所で訓練目標の達成度の評価等を行う

「完全在宅」と書かれていても、月に一度は通所や訪問が前提になる場合がある、という見方で確認します。また、在宅で提供する訓練内容・支援内容は運営規程に明記することとされているため、在宅コースの範囲は運営規程と公式サイトで確認します。

通信費や機材の扱いについて、厚生労働省は在宅勤務の文脈で、費用負担の取り扱いは企業ごとにさまざまであり、労使で話し合ってルールを定め、就業規則等に規定しておくことが望ましいとしています。就労移行支援そのものの規定ではありませんが、在宅学習でも、パソコンの貸与の有無や通信費の負担は事前に書面で確認しておくと安心です。

公式サイトで確認したい比較ポイント(チェック表)

下の表をコピーして、気になる事業所ごとに記入してください。評価は書かず、「書いてあるか・書いていないか」「質問して返ってきた答え」だけを記録するのがコツです。

観点 確認したい内容 確認先
学べる内容 扱うプログラミング言語やツール、資格取得の支援、基礎から応用までの段階 公式サイト・カリキュラム資料
成果物・実践 制作物づくりや模擬業務の有無、評価の仕方 見学・体験
学習形態 通所のみ、在宅のみ、併用のどれか。在宅の場合の評価・面談の頻度 公式サイト・運営規程
学習環境 パソコン・通信環境の貸与の有無、自己負担の範囲 見学・問い合わせ
対象・条件 受け入れる障害種別や手帳の扱い、利用開始時のスキル水準 公式サイト・問い合わせ
期間の設計 24ヶ月以内に訓練・就職活動が収まる設計か 説明会・個別相談
費用 自己負担上限の説明、交通費・昼食・教材費などの別費用 公式サイト・見学時
職員体制 支援員の役割、IT講師の有無、個別面談の頻度 見学・問い合わせ
配慮の相談 体調・特性に応じた通所ペース、休み方、合理的配慮の相談窓口 見学・体験
就職先の探し方 企業実習、求人の紹介元、障害者雇用以外の応募への対応方針 説明会・問い合わせ
就職後の支援 就労定着支援の提供の有無、連絡の頻度 公式サイト・問い合わせ
実績の見方 就職者数や定着率の集計方法・対象期間 公式サイト・問い合わせ

実績の数字は、集計の仕方が事業所ごとに違う可能性があるため、数字だけで比べず、何をどう数えた数字かを質問してください。具体的な数字を参考にする場合は、【要確認: 公式サイトで確認】のうえ、集計条件も合わせて確認します。

「就職の出口」の見方:雇用の仕組みと定着支援

ITスキルを身につけても、就職の形によって働き方は変わります。次のような制度の前提を知っておくと、事業所の説明が理解しやすくなります。

  • 民間企業の障害者の法定雇用率は、令和8年7月1日から2.5%が2.7%に引き上げられ、現在は2.7%です(施行済み)。
  • 障害者雇用義務の対象となる民間企業は、令和8年7月から常用雇用労働者数が37.5人以上の事業主で、この規模の事業主は障害者を1人以上雇用しなければなりません(施行済み)。
  • 雇用率の対象になるのは、身体障害者は身体障害者手帳1〜6級の人、精神障害者は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人などです。知的障害者は児童相談所などで知的障害と判定された人です。

事業所の報酬と定着率

就労移行支援(定員20人以下)の基本報酬は、就職後6月以上の定着率に応じて1日あたり479単位から1,210単位まで区分されています(5割以上が1,210単位、定着率0が479単位)。就職後の定着が制度上も重視されていることが分かります。

ただし、この数字を見て特定の事業所の良し悪しを判断することはできません。公式サイトで定着に関する情報がどう示されているかを確認する程度にとどめましょう。

就労定着支援

就職後は就労定着支援があります。

  • 対象:就労移行支援などを経て一般就労へ移行し、就労に伴う環境変化で生活面・社会面の課題が生じている人のうち、一般就労後6月を経過した人
  • 期間:最大3年間。期間が過ぎたあとは、必要に応じて障害者就業・生活支援センター等に引き継がれます
  • 内容:相談を通じて課題を把握し、企業や関係機関との連絡調整を行います。自宅・企業等への訪問により月1回以上の対面相当の支援を行い、月1回以上の企業訪問に努めます

訓練を行う事業所が就職後の支援もしているのか、別の機関につなぐのかも、確認しておきたい点です。

申し込みから利用開始までの流れ

自治体によって手順や所要期間は異なります。【要確認: お住まいの市町村窓口】で全体の流れを聞いておくと、スケジュールが立てやすくなります。

  1. 情報収集と相談:市区町村の障害福祉窓口や相談支援事業所に、就労移行支援を使いたいことを伝えます。ハローワークや主治医にも、働き方や体調面の相談ができます。
  2. 事業所の見学・体験:チェック表を持って、気になる事業所を見学します。体験の可否や回数は事業所ごとに異なるため、問い合わせて確認します。
  3. 支給申請:利用したいサービスの種類ごとに、市町村へ申請します。支給申請書(様式第1号)に、負担上限月額の算定に必要な書類と、すでに支給決定を受けている場合は障害福祉サービス受給者証などを添付して提出します。難病で手帳がない場合は、疾病がわかる証明書も持参します。
  4. サービス等利用計画案の作成:計画案の作成は、市町村から提出を求められた場合、指定特定相談支援事業者(相談支援事業所)に依頼するのが原則です。ただし、身近な地域に指定特定相談支援事業者がない場合や、ご本人が希望する場合は、事業者以外の者が作成する計画案(セルフプラン)を提出することもできます(出典: 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(最終改正 令和7年9月)、厚生労働省「障害者総合支援法 障害福祉サービスの利用について」)。
  5. 支給決定:市町村が、心身の状況、サービス等利用計画案、利用意向、訓練・就労に関する評価などを勘案して決定します。
  6. 契約・利用開始:受給者証を受け取り、事業所と契約して利用を始めます。

申請前に事業所を絞り込んでおくと、窓口での相談がスムーズです。ただし、決定するのは市町村なので、希望どおりにならない可能性も念頭に置いてください。

よくある質問

Q. 手帳がなくても就労移行支援を使えますか?

障害者総合支援法の対象となる難病の方は、手帳がなくても、必要と認められた支援を受けられます。診断書など疾病がわかる証明書を持って、市町村の窓口に申請します。精神疾患・発達障害などで手帳がない場合の取り扱いは、【要確認: お住まいの市町村窓口】です。

Q. 24ヶ月でプログラミングを学びきれるか不安です。延長はできますか?

標準期間は24ヶ月です。市町村審査会の個別審査で必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新ができます。延長を前提にせず、24ヶ月の中でどこまで到達するかを事業所と相談してください。

Q. 完全在宅で通う(学ぶ)ことはできますか?

在宅利用は、希望する人のうち、在宅での支援効果が認められると市町村があらかじめ判断した人が対象です。事業所側にも、週1回の評価や、原則月1日の訪問または通所での評価など、報酬算定上の要件があります。実際にどの範囲まで在宅で進められるかは、運営規程と公式サイトで確認し、見学時に質問してください。

Q. 費用はいくらかかりますか?

障害福祉サービスの自己負担には世帯収入に応じた月額上限があり、生活保護世帯・市町村民税非課税世帯は0円、「一般1」は9,300円、「一般2」は37,200円です。所得を見る世帯の範囲は、18歳以上の障害者の場合、本人とその配偶者です。交通費や昼食代などの別費用は、事業所ごとに確認します。

Q. プログラミング未経験でも大丈夫ですか?

受け入れ水準や開始時の学習内容は事業所によって違います。【要確認: 各事業所の公式サイト】。体験で自分のペースに合うかを確かめるのが確実です。なお、制度は就職を約束するものではないため、訓練内容と就職支援の両方を確認してください。

Q. 就職後のサポートはありますか?

一般就労へ移行し、課題が生じている人が就労後6月を経過すると、就労定着支援の対象になります。利用期間は最大3年間です。事業所がこの支援を行っているかどうかは、公式サイトか問い合わせで確認してください。



コメント

タイトルとURLをコピーしました